一次発酵と二次発酵

 このサポートシステムでは、発酵を開始して温度が60℃以上になった後に、切り返して通気や水分が適切な条件にしても温度が上昇しなくなるまでを一次発酵、それ以降を二次発酵とします。何度まで上がらなくなれば一次発酵終了となるのかについては、まだ明確な答えが出ていませんが、50℃あたりを目安にしてください。

 この定義では、一次発酵が終了していれば、ほとんどの易分解性有機物が分解されていることになりますから、この状態で農地に施用しても問題が起きることは少ないです。耕種農家によっては、より熟成された堆肥を求めるので、その場合だけ二次発酵をすれば良いことになります。


 堆肥化過程は連続した一連のものですから、本来、一次発酵と二次発酵を明確に分けることができないものです。このようなこともあり、一般に使われている一次発酵と二次発酵は、例えば以下の例のように、使用する人によって違う使われ方がされています。

  1. 最初の開放型発酵槽での処理を一次発酵、その後の処理を二次発酵とする

  2. 堆積発酵で最初の切り返し3回目までを一次発酵とする

  3. 堆積発酵で白い放線菌の層が出てくるまでを一次発酵とする

1の例では、堆肥の性状とは関係ない施設の構造で決めていますから、施設の構造や管理が変わると、全く違ったものになってしまいます。2の例では、原料や管理の違いで、全く違ったものになります。3の例は、堆肥の状態に従って分けているので良さそうに思えますが、ある程度の有機物が残っており、温度が下がって酸素がある条件ならば、放線菌の層ができてしまいますから、たい肥の質だけはなく管理状況にも大きく依存しています。


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