発酵床豚舎の例(多頭飼いハウス豚舎)

 園芸用のハウスを流用した発酵床豚舎の例です。耐用年数が短いですが、設置費用が安く済みます。



図1 発酵床豚舎の例(横から見たところ)



図2 発酵床豚舎の例(上から見たところ)

【設計のポイント】

  1. 適切な深さにする
     床の深さは、全量排出型ならば40cm、戻し利用型ならば60cmにします。コンクリート床の高さは、床面よりも5cm高くし、壁面は床面よりも15cm高くします。

  2. 床の底を遮水する
     床の底は必ず遮水してください。バケットローダーの加重に耐えられる強度を持ったものにします。

  3. コンクリート床を設置する
     発酵床は、発酵がうまくいくと発熱します。冬は保温として効果がありますが、夏は暑熱ストレスの原因になる可能性があります。このため、熱い時に退避できるように、一部をコンクリート床にします。

  4. 給水器のこぼれ水が床に入らないようにする
     給水器を豚房の外に設置して、こぼれ水が床に入らないようにしてください。

  5. 排水溝を設置する
     床を洗浄したり、戸板の下から排汁が出たりしたときの排水を回収できるように、排水溝を設置します。ひさしやカーテンの内側に設置して、排水溝に雨水が入らないようにします。また、バケットローダーの走行を妨げないような溝にしてください。

     回収される汚水は、浄化処理や農地還元などにより、きちんと処理してください。

  6. 重機で作業できるようにする
     床の搬入搬出やかく拌の作業は、重機で行えるようにする必要があります。ハウスは、中で重機が作業できる高さが必要です。

  7. 出っ張りやへこみを少なくする
     床材が入る部分は、出っ張りやへこみがないきれいな四角い形にすると、搬入搬出だけでなく、洗浄も容易になり、消毒の効果も得やすくなります。特に床材が入っている部分は、重機で作業するので重要です。

  8. 肥育中でも床のかく拌ができるようにする
     図3のように、奥の1/3ほどに一時的に柵を設置できるようにすれば、豚を追い込んで、肥育の途中でも床のかく拌を重機でできるようになり、作業が容易になります。

  9. 暑熱対策
     ハウスは、そのままでは夏に暑くなるので、アルミを張り込んだシート等、遮熱性の高いシートを被せてください。ハウスの両側側面は、床面くらいまでシートをまくり上げられるようにします。また、天井からミスト状の水をかけたり、換気扇で空気の通りを良くすると効果的です。



図3 奥に豚を追い込めるようにすれば豚がいても重機で床をかく拌できる

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