有機性廃棄物は植物病原性微生物に注意する

 作物を収穫した後に残る葉や茎などの園芸残渣や、果樹や街路樹の剪定枝などは、副資材として利用できます。しかし、これらには、植物に対する病原性微生物を含んでいる可能性があります。高温に強い病原性微生物もいるので、使用した副資材とは別の系統の作物に施肥してください。

 植物病原性微生物の多くは、55℃以上の熱処理で死滅します。しかし、モザイクウイルスを死滅させるには90℃以上の高温が必要ですし、萎凋病菌も、高温に強いと言われています。実際の堆肥化の現場で、堆肥全体をこのような高温処理することは困難ですから、病原性微生物を含む可能性のある副資材を施用した時には、でき上がり堆肥にも、それが残存していると考えて施用するようにしなくてはなりません。

 愛媛県農業総合試験場が行った試験(「本圃・床土等における臭化メチルの代替技術」2004年)では、ほとんどの植物病原性微生物は、55℃で死滅しましたが、モザイクウイルスは90℃以上の温度が必要でした。

 千葉県畜産総合研究センターが行った試験(「農場有機性残さと家畜ふんの混合堆肥化と肥料利用<II>牛ふん堆肥とラッカセイ茎葉残さの混合堆肥化および肥料利用についての検討」2004年)では、牛ふんとラッカセイ残渣を混ぜて堆積発酵したところ、部分的に温度の上昇が不十分なところがみられ、トマト萎凋病菌を死滅させることができませんでした。別の試験(「農場有機性残さと家畜ふんの混合堆肥化と肥料利用<I>鶏ふんとトマト茎葉残さの混合堆肥化および肥料利用についての検討」2004年)では、鶏ふんとラッカセイ残渣を混合してモミガラの上に乗せ、これを鶏ふんで被覆する事で、トマト萎凋病菌をほとんど死滅させることができました。


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