畜産業に関わる排水規制について

 河川などの公共用水域に排水する場合には、水質汚濁防止法に基づく排水基準(健康項目と生活環境項目)が適用されます。ここでは、国が定めた基準(一律排水基準値)を示します。都道府県の上乗せ条例によって、適用対象の拡大やより厳しい許容限度が設けられている(上乗せ排水基準)ことがあるので、市町村の担当者に問合せてください。

【特定事業場】

 畜産農家の場合、下表の要件のいずれかに該当するような施設(特定施設)を有する事業場(特定事業場)が排水規制の対象となります。
畜種 特定施設の要件 参考
(おおよその飼養規模)
豚房の総面積50m2以上の豚房施設 肥育豚約65頭以上
牛房の総面積200m2以上の牛房施設 成牛約35頭以上
馬房の総面積500m2以上の馬房施設 成馬約50頭以上

【健康項目】

 人の健康に係る被害を生ずるおそれのある物質として排水規制されている物質です。特定事業場ならば、排水量に関係なく規制対象になる点にご注意ください。
畜産に関連する有害物質 基準値 適用対象
アンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物
(略称:硝酸性窒素等)
豚:400mg/L
(暫定基準.令和7年6月末日まで)
牛:300mg/L
(暫定基準.令和7年6月末日まで)
馬:100mg/L
(一般基準)
全ての特定事業場
備考1)下記の式にて算出する値です。
   アンモニア性窒素×0.4+亜硝酸性窒素+硝酸性窒素
備考2)硝酸性窒素等の暫定排水基準値は、今後さらに厳しくなることが想定されます。汚水浄化処理施設の適切な運転管理を行い、一般排水基準値100mg/Lに向けた低減に努める必要があります。なお、1年に1回以上の自主測定と記録、3年間の保存が義務付けられています。

【生活環境項目】

 水の汚染状態を示す項目として排水規制されている項目です。
畜産に関連する項目 基準値
< >内は日間平均値
適用対象
水素イオン濃度(pH) 海域以外:5.8〜8.6
海域:5.0〜9.0
特定事業場のうち、1日の排水量が50m3以上のもの
BODまたはCOD注1) 160mg/L <120mg/L>
SS 200mg/L <150mg/L>
銅含有量 3mg/L
亜鉛含有量 2mg/L
大腸菌群数 <3,000個/cm3
窒素含有量 120mg/L <60mg/L> 指定湖沼に係る特定事業場のうち、1日の排水量が50m3以上のもの
リン含有量 16mg/L <8mg/L>
窒素含有量 豚房施設以外:120 mg/L<60 mg/L> 閉鎖性海域に係る特定事業場のうち、1日の排水量が50m3以上のもの
豚房施設:130 mg/L<110 mg/L>注2)
(暫定令和5年9月末日まで)
リン含有量 豚房施設以外:16mg/L <8mg/L>
豚房施設:22mg/L <18mg/L>注2
(暫定令和5年9月末日まで)
注1)BODの排水基準は海域及び湖沼以外の公共用水域への排水、CODの排水基準は海域及び湖沼への排水に限って適用されます。
注2)豚房施設についての暫定排水基準値は、今後さらに厳しくなることが想定されます。汚水浄化処理施設の適切な運転管理を行い、一般排水基準値である窒素120mg/L <60mg/L>、リン16mg/L <8mg/L>に向けた低減に努める必要があります。